岐阜県関ケ原町を拠点とする関ケ原製作所が運営する「せきがはら人間村 生活美術館」プロジェクト。古戦場跡の周辺に点在する同プロジェクトのアートスペースの中心となる美術館兼収蔵庫です。
「美術を身近に、生活の一部であるかのように存在させたい。」という施主の思いにより、美術館然とした敷居の高い存在ではなく人々の暮らしと一体であった蔵のような場所となるように計画を進めました。
美術館建築はその収蔵物の重要性から鉄筋コンクリート造、高床式で建てられることがセオリーですが、本件は木造での建築を選択しています。市井で建てられてきた蔵も木造であり、実際に火事や地震、そして湿気から一家の大切な家財を守ってきました。そういった昔ながらの知恵や工夫を現代の工法や建築事情と折り合いをつけながら着地点を見つけてきました。
外壁は県産材の杉に窒素加熱処理を施し、無塗装で耐久性のある壁面としています。その内側にはセキュリティの駐在所や消防署までの距離を考慮し、適度な防火構造としています。また、夏でもひんやりとする蔵の環境を再現させるため、蓄熱性のある厚い土壁の代わりに十分な断熱性能(住宅でいうG3相当)を持たせています。露出した構造材や岐阜県産の漆喰仕上げの内壁によって湿度も適度に調湿されます。最低限の冷暖房設備は入っていますが、夏季冬季の空調エネルギー負荷は相当低く抑えられています。
門扉や内部の階段は鉄の造形作家であり、制作美術研究所の所長でもある山本鐘互さんに制作いただき、全体の計画骨子は滋賀を拠点に活躍される彫刻家、近持イオリさんに監修いただいています。そのほか、多くの方々のご協力やご助言、関係の中で完成した建物となりました。
本件は岐阜を拠点とする「WOODYYLIFE」さんとの協業プロジェクトであり、同社の地域とのつながりや自然な素材を大切にする姿勢、人を大切にする社風もまたとても色濃く反映されています。
完成後、若林奮さん、古郡弘さんの彫刻やドローイングが常設展示され、不定期ですが一般公開されています。
※写真は美術作品を尊重したいので先入観なきよう白黒にいたしました。ぜひ現地で作品と対峙していただければとおもいます。
用途 | 美術館 |
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所在地 | 岐阜県 |
構造 | 木造在来工法 |
規模 | 2階建て |
敷地面積 | 695㎡ |
建築面積 | 233㎡ |
延べ床面積 | 325㎡ |