武川建築設計事務所

奥田洞の現場、上棟。

2023.09.28更新

地元下呂市、奥田洞の現場が上棟しました。

野地板も張られ、全体のボリュームが見えてきました。背後に広がる飛騨の山々となじむよう、高さを抑えた片流れの屋根。イメージ通りの姿で安心しました。

地産の杉、桧のみで組まれた軸組の中に入ると木の良い香りで満ちています。いつもは壁、天井に石膏ボードを張って仕上げることが多いので工程が進むにつれて木の香りが薄くなっていきます。上棟現場に行くたびもったいないなーと思っていましたが、この家は柱や梁をそのまま表して仕上げとしているのでいつまでもこの状態です!

寒い地方なので気になる断熱は壁の外側にもう一つ断熱の為の層を設ける「外断熱」工法としています。外断熱工法は断熱の継ぎ目や欠損を少なくできる上に基礎コンクリートごと囲むことができるのでコンクリートが蓄熱体となって屋内温度を安定させることができます。土間が多いこの家にはとても相性の良い工法です。

奥行きのある土間テラスも見えてきました。テント3つ張れるほどの広さです。軒先の樋は敢えてつけていません。落ち葉の詰まりや積雪による破損を避ける意味もありますが、雨の日に軒先から滴り落ちる雨粒を眺めるのもまた趣があるのです。建物の造りや素材をできる限り簡素にすることで、強く自然を体感できる空間になればと考えています。

外壁も杉板を使いますが、塗装は施主が全部塗りました。枚数も多く大変な作業でしたが、こうやって家づくりに参加することでより家が家族になじむものになると考えています。仕上げ方は外壁の下から上へ少し重ねながら張っていく「下見張り」です。こちらも単純な方法とどこにでもある素材で作ることで、メンテナンスも施主自身で容易に手入れすることができます。

12月の竣工が楽しみです。

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