2021.04.26更新
しばらく多忙な日々が続いておりまして、更新が全くできておりませんでした。こういった日々の発信を続けるのは本当に大変ですね。どなたか秘訣を教えて下さいませ。
つきまして、昨年より長らく設計・施工管理してまいりました岐阜県鏡島のリノベーションモデルハウスが完成いたしました。グランドオープンが4/29に予定しております。岐阜の住宅ビルダーである「ひだまりほーむ」さんと、改修やメンテナンスを主業務とする子会社の「WOODYYLIFE」さんとコラボレーションさせていただきました。
築40年を超える建物を瓦屋根以外全面的に改修しています。もう見た目は新築のようです。外壁はあたたかい表情の塗り壁に一部無垢の杉板張り、家にいながらキャンプも楽しめるほどの大きなデッキを設けています。さっそく見学にいらした家族のお子様たちが楽しそうに遊んでいました。立体感のある美しい植栽は三重の造園家西村工芸の西村さんに協力いただきました。新緑がとてもきれいです。
これまでもよく使ってきた手法ですが、以前広縁だった場所を減築して屋外の軒下空間にしています。デッキの外部空間と居間の内部空間をゆるやかに繋げる重要な場所です。軒が深くなることで夏の強い日差しも効果的に遮ってくれます。敷地の前面には車通りの多い幹線道路が通っているので、そちらとの緩衝材として心理的に距離をとる効果もあります。
以前の間取りはいわゆる「田の字」型でそれぞれの部屋が個室化されていましたが、構造的な強度は確保しつつ、壁や柱の位置を整理して広々とした内部空間を作るようにしています。一体感のある空間ながらも、ゆったりとくつろぎたい場所は床の高さを変化させて天井高を変えることでより落ち着きのある場所になるよう工夫しています。
フルオープンにできる木製のオリジナル建具。アルミサッシと比べるとコストは掛かるのですが、外とのつながり感はこれならではのものです。お子様たちはやっぱりこの場所がお気に入りのようです。バリアフリーであることはとても重要ではありますが、適度な段差は生活を豊かにすることもあるのです。
キッチンには素敵なクジラの絵画を飾っていただきました。水回りに海の生き物、いいですね。まだ未完成でしたがお風呂の前はバスコートになっていて、庭の緑と板塀に囲まれたデッキとつながり、入浴の時間もゆったり楽しめるようになっています。
改修では難しい住宅性能の向上も抜かりなく抑えています。数値で表すと「耐震性能8倍、断熱性能7倍、収納2倍!」です。新築にも引けを取らない性能を実現しています。正直なところ最先端の断熱性能など私の事務所では弱い部分では有りましたが、ひだまりほーむさんの強みを遺憾なく発揮していただいています。コラボレーションを通じておおいに学ばせていただきました。
また、使用する素材についてもほぼ県産材を使用しています。木材の杉や桧は当然ながら、塗り壁の岐阜漆喰や高山の飛騨コレクションさんに制作いただいた家具、河合村の手漉き山中和紙や美濃焼きタイルなどなど・・。予想以上になんでも揃ってしまうことに岐阜のポテンシャルを感じました。
こういった地域のものを使うといったことやできる限り自然な素材で空間を構成していく考え方はとても共感でき、とてもスムーズに意思疎通ができたプロジェクトでした。ひだまりほーむさん、WOODYYLIFEさんとは別のビックプロジェクト(!)も進行中ですので、そちらも完成が楽しみです。
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