武川建築設計事務所

「若林奮 森のはずれ」展

2023.07.30更新

武蔵野美術大学で開催されている「若林奮 森のはずれ」展を見に行ってきました。作品も言葉も非常に難解な彫刻家ですが、知れば知るほど興味が深まります。

酒井忠康さんと水沢勉さんのトークイベントに合わせて伺いましたが、若林さんの人柄から謎めいた視点についてまで様々な情報が伺えてとても面白かったです。小さな会場には若林さんと深い関係の方々が多く見えていて、そういった方々からの情報の補完や思い出話もあって、さながら「偲ぶ会」のような雰囲気になっていました。

録画もされていたようですが、内容的に公開されなそうな話もあったのでこの場所かぎりの体験になるのではないかと思います。ネットは便利ですが、リアルだからこそ深くなる。こういう機会もとても大切だなと感じます。

芦原義信さん設計の美術館も重厚感があって好きです。昨今は重いものを軽く見せたり、あるものを無いように見せたりする建築表現を多く見ますが、重いものがちゃんと重みをもっていて、あるものはきちんと存在するように表現されるものの方が好意を持つことが多い です。「錯覚」みたいなだまされる気分になる表現は根源的な不安を覚えるのでしょうか。

話題となった藤本壮介さんの増築計画の方は正直あまり好きになれませんでした。常人には思いつかない構成や素材の使い方、尋常ではない労力をかけたであろう納まり、素晴らしい建築なのは間違いないのですが、なんというかいろんな意味で長い時間の流れに耐えられなそうな気がしました。展示期間中に雨漏りしてたらしいですし。。

同じ敷地内にある坂倉順三さんの4号棟(写真撮り忘れた!)も素敵でした。どことなくインドで見たガンジー記念館と構成が似ています。きつい日差しの中でコンクリートの構造体の下に広がるピロティ―空間には風も通り、建物がオアシスであり人間を守ってくれるシェルターのようありかただと感じた当時の感覚がよみがえりました。

物思いにふけりながら、久々に楽しい時間を過ごせました。

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