武川建築設計事務所


設計事例


覚王山の家

敷地はお釈迦様の御遺骨が安置されていることで有名な大寺院、覚王山日泰寺の近くにあります。静かで落ち着きのある地域ですが、近年は参道を中心にしゃれた店舗や施設が数多く集まり急激にその姿を変えている地域でもあります。

北西に走る道路に面した角地で、西側の道路向かいには神社があり、境内の高木が夏にはもさもさとした緑の壁を作っていました。工事中にかなり刈り込まれはしましたが、神社の緑豊かな安定した景観を取り込めるよう2階に西側へ開いた居間空間をとっています。東と南の隣地には3階建ての建売住宅が境界線ぎりぎりまで迫って建っており日射取得と視線・圧迫感の回避が重要な課題でしたが、2階の南側に適度に目隠しをしつつバルコニーを設けることで建物内部へ多く光を取り込めるようにしています。
建物のプロポーションも角地に建つ建物らしさや周囲に圧迫感を与えないようなボリューム感になるよう検討しました。足元の寒椿が周囲の街並みと建物を柔らかくつなげてくれています。

窓には紙障子を入れることで、柔らかい光が室内を満たします。奥様のお話によると夕方近くなるとバルコニーや西側の樹木の影が障子に写る様子を楽しまれているとのこと。そしてソファ脇のフロアランプが室内をゆるく仕切る木格子の影を壁に落とすのがとても美しいとの感想をいただきました。

心地よく穏やかに日々を過ごせるよう木や土、和紙、竹、革など自然に近い素材で空間を仕上げていますが、施主の趣味で集められた美しい日用雑貨や工芸品ともよく調和しています。

このプロジェクトはわたくしの所属する設計集団「あとりえずTOKYO」と名古屋を中心に住宅建築を手掛けている阿部建設さんとの協業プロジェクトです。

写真:岡村靖子

作品情報
用途 住宅
所在地 愛知県
構造 木造在来工法
規模 3階建て
敷地面積 68.3㎡
建築面積 40.8㎡
延べ床面積 84.8㎡

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